食文化の紀元とは
人間の歴史について語るうえで、切り口は数限りなくあります。文明史と言ってもその中には文化史、美術史、音楽史などの細かい分類があり、さらにその中でも分節は多岐にわたります。
ここで、人間の歴史を生きる上で不可欠なものとしての「食」の歴史として、とらえ返すのも面白いかもしれません。人類が誕生して以来、食は常に、人間と共にあったのですから。そういう意味では、食の歴史は人類の歴史、という言い方も成り立つと思います。
まず、動物的な食の形態がはじまりです。つまり、他の生物を捕獲してそれを食べる、という狩猟の形態です。また、植物を採集して食する、採集という形態があります。おおむね、この「狩猟、採集」が食文化のはじまりです。
いわゆる文化的な食の歴史は、古代ギリシャにはじまります。紀元前3000年ぐらいのエーゲ文明に、テーブルマナーや食を楽しむという概念が生まれていることが分かっています。記録としては、紀元前4世紀の叙事詩に『ガストロノミア(美食法)』というものが残っています。ギリシャに生まれた食文化は、ローマ帝国によって発展し、徐々に広まっていたのです。
テーブルマナーのはじまり
食が文化として成立したのは、ローマ帝国においてであると言われています。特に食は社交の場でもあり、貴族、政治家、その他富裕層などは、宴会を贅沢に開くことで、己の立場を誇示し合っていました。
ローマ帝国が拡大していくと、それまでは知られていなかったような食べ物、異国の料理などが流入してきます。宴会の席には、これらの珍しいものが並びます。そして参加者は参加者で、楽しむために吐きながら食べた、ということが伝わっています。
テーブルマナーの原型のようなものが作られたのは、この時代だと言われています。食事に作法が加わったのですね。当時はどれだけ偉い人であっても、手づかみで物を食べていました。しかし、その代わりに食事の前には入浴をし、身体を清めました。そして、豪華な装いで食事に臨んだ、と言われています。席順は身分によって決まっていました。また、食事をするときには椅子ではなく、ベッドに寝ながら食事をするのが当時の正式な作法だと言われています。
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